アトピー性皮膚炎の講演を行いました
先日、アトピー性皮膚炎の講演を行いました。近年アトピー性皮膚炎の治療薬は開発が進み、治療を諦めていた重症患者さんにも使える薬も増えています。しかし、重症例は高額で長期の治療が必要となる事が多い為、今回の講演ではアトピー性皮膚炎発症予防、重症化防止対策についてお話しさせていただきました。
アトピー性皮膚炎やアレルギー性疾患は、湿疹や乾燥などバリア機能が落ちた皮膚からのアレルゲン侵入(経皮感作)によって形成されていきます。なるべく早期からバリア機能を保つことでアトピー性皮膚炎の発症や重症化を予防することができます。
食物アレルギーが食物の腸からの吸収が原因ではなく、皮膚からの侵入が原因という事は、やっと一般的に知られてきました。(簡単に言うと赤ちゃんの肌のカサカサから色々なアレルギーの原因物質が入ってきて、食物アレルギーが発症するという事です。)
赤ちゃんの頬っぺたのカサカサは、ミルクや離乳食が付着しやすく、アレルゲンの侵入しやすい環境ですので、要注意!付着後の水拭き、保湿をしても取れないカサカサは湿疹かもしれませんので、早目に皮膚科でツルツルにしてあげましょう。
赤ちゃんを卒業したお子さん達も同じです。どの年齢でも、カサカサした肌からは経皮感作が進むことが知られており、特に10歳までの肌状態がその後のアトピー性皮膚炎の重症度を決めると私は感じています。
バリア機能が弱くカサカサを繰り返しやすい子どもは、治療も長期に渡る場合があります。その際に最適な方法がプロアクティブ療法です。ステロイド外用薬などを用いて早期に皮膚のバリア機能を回復させた後、副作用の出ない方法で維持していきます。
当院でプロアクティブ療法を行なっている患者数が多くなり、福岡、全国規模でみても症例数が多くなった為講演を頼まれる機会が増えました。
しかし一般にはまだまだ経皮感作予防の大切さについては知られておらず、低年齢からの介入によるアトピー性皮膚炎予防には一層の啓発や活動が必要だと感じています。これからもアトピー性皮膚炎重症化予防の為、少しでも力になれたらと思っています。
カサカサ、湿疹が続く場合は早目に皮膚科を受診して下さいね。子供さんの人生が変わります。お待ちしています!
院長
2023年02月28日